本学文学部文化総合学科の集中講義でご来校いただいたのを機に、静岡大学名誉教授の岩井淳先生に、講義期間終了後の8月12日(土)、本研究所の研究例会でご報告いただきました。
テーマは「英米のピューリタニズムとコモンウェルス」です。
従来、君主政にも用いられたコモンウェルス概念に対してより多様で豊かな意味を盛り込んだこと、そのコモンウェルス概念をアメリカやオーストラリアに広めたこと、さらに小集団を下から束ねてゆくピューリタニズムの組織原理がコモンウェルスと親和性を持ち国家権力を相対化する可能性をもったことなど、ピューリタニズムの歴史的意義を「コモンウェルス」に着目して振り返るというご報告でした。
岩井先生の報告後には、札幌学院大学の菅原秀二先生から、ピューリタン革命をめぐる欧米の研究動向を踏まえながら、岩井先生のこれまでの研究活動を振り返るという丁寧なコメントと、ギリシア?ローマ起源のコモンウェルスとピューリタニズムとの関係、ピューリタニズムの組織論と同時代の都市における自治組織との関係、ピューリタニズムが提示した共和政とその後復興をみる君主政や帝国への発展との関連、という三つの提題をいただきました。
続いて、菅原先生の提題を軸に活発な質疑?応答がなされましたが、最後に、結社や小集団の組織原理をめぐって、プロテスタントと第二ヴァチカン公会議以降のカトリック教会にも議論がおよぶなど、実り豊かな例会となりました。
多忙なスケジュールのなか例会報告を引き受けてくださった岩井先生と、急な依頼にもかかわらずコメンテーターを引き受けてくださった菅原先生に改めてお礼を申し上げます。